さくさく–文芸同人サークル文学市場のブログ–
文学市場の同人が、例会の様子や文学についてなど、ゆる〜く紹介します♪
水を治めた人の景色
どうも史間です。
今年は台風が多いですね。27号の到来も心配です。皆様どうかお気をつけ下さいませ。水害に関するニュースが多い中、前回と今回のテーマはなんとなくつながっているような気がします。
前回に続き、今回も嵐山散策。「水運の父」こと角倉了以翁ゆかりの地、大悲閣へ向かいます。
渡月橋から川上を見ますと、左手(右岸)に嵐山、右手(左岸)に小倉山が見えます。小倉山を、京都の人は亀山と呼びます。山の輪郭が亀の姿に似ているためですが、この山には紅葉が植えられていません(この間言われて「そういえば」と思いました)。亀の甲羅には苔が似合う、赤く染まったら亀らしくなくなるというのが理由だそうです。紅葉観光の名所・嵐山ですが、小倉山の姿も楽しんでもらえたらなと思います。
小倉山は昔「お暗山」ともいったそうで。嵐山を含むここら辺一帯の山々を指していました。藤原定家が小倉百人一首をまとめたという時雨亭跡に諸説があるのも、範囲が広く場所を特定するのが難しいから、なのでしょうね。定家は百人一首の前に「百人秀歌」をまとめたのですが(逆だという説もあります)、そこには和歌の名手だった後鳥羽院(百人一首では99番)とその子順徳院(同じく100番)の歌がありません。これは当時、承久の乱を起こし鎌倉幕府によって流罪となっていた後鳥羽院らを、政治的配慮によってのぞいたからと言われています。定家としては二人の歌こそ優れていると思い、本心では載せたかったということなのでしょうね。
ちなみに、小倉百人一首の中で私が一番好きな歌は、讃岐の「わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし」です。恋の歌ともとれるし、そうではないともとれるので、その時々の想いを重ねて楽しむことができる歌だなぁと思います。皆さんにもお気に入りがあれば、教えていただきたいです♪
脱線がすぎましたので、右岸に沿って川上へと行きます。ここから人通りが極端に少なくなります。観光地嵐山らしからぬ、静かな雰囲気。保津川下りの船を眺めながら進んでいきます。
しばらく行くと石段の参道が表れます。その両脇に石碑があり、
千尺懸崖搆梵宮 下臨無地一谿通
何人治水功如禹 古碣高鐫了叺(以)翁
と、刻まれています。二つに分かれていますが、たぶん七言絶句です。ここからやや険しい山道を行き、息がはずんできた頃、ようやく大悲閣が嵐山の山肌から突き出て建っているのが見えてきます。
大悲閣(千光寺)は禅宗寺院です。
了以翁が河川工事に協力し犠牲となった人々を弔うため、嵯峨中院にあり廃れていた千光寺の名跡を移しました。翁は晩年をここで過ごし亡くなります。本尊は源信(恵心僧都)の千手観音像です。大悲閣には石割り鎌を持った了以翁の像もあり、今も嵐山から川の安全を見守っています。
※クリックすると拡大します。
奥に広がる山並み、左手にとがって見えるのが比叡山です。その左斜め手前にあるのが衣笠山。宇多天皇が夏に雪が見たいとわがままを言ったので、山の頂に真っ白な絹をかけたという逸話から「きぬかけ山」→「衣笠山」となったと言われています。付近には龍安寺や仁和寺、鹿苑寺金閣があり、それらを結ぶ道には現在「きぬかけの道」という名がつけられています。
衣笠山の右に、三つ並んで在るのが双ヶ丘(ならびがおか)です。この丘の麓に庵を結んだのが、『徒然草』の作者兼好法師でした。
双ヶ丘の右端から斜め右に目を向けると、ちょっとわかりにくいのですが、大文字山があります。そしてさらに右へといったところに清水寺の建つ東山があります(たまにですが肉眼で見えます←視力いい)。
眼下に川が流れる眺めは大変素晴らしいです。1959年の伊勢湾台風で被害が出て以来、縁側に出ることができなかったのですが、ようやく工事が行われ、昨年より縁側での見学も可能になりました(それまでは室内からのみでした。窓は開いていたので、風は感じることができましたが)。山の中にあって人もめったに来ないので、修理の資金を工面するのが難しいのだそうです(と案内役の方が言っておられました。儲けようとは思っていない、好きな人だけ来てくれればいいのでそれでいいのだとも言っておられましたが)。
まるで空を漂っているような気分になれますし、風に吹かれていると無心になれます。訪れる人も少ないので、一人で数時間もぼーっとしていられます(本を持ち込んで読んでいても怒られない)。他の参拝者がいる時は、それはそれで仲良くなれるので楽しいです。
松尾芭蕉や会津八一も大悲閣について詠んでいます。京都を訪れることがあれば、ぜひ!(山道キツいですが)
大悲閣ホームページはこちら
それにしても長いですね(汗)。読みにくかったらすみません!
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京都、いいですね
京都はもう何十年も前(五十年になるかな)に観光で回ったきり、お決まりのコースです。その後何度か行きましたが(それもかなり前)行くたびにきれいになって、というか、作られた感を感じていましたが、まだまだ知らない風情がそこかしこにあるのですね。行ってみたい、でも、山道は・・・悔しいけど多分ダメ。写真で楽しみます。また、観光案内に載っていないような穴場報告、ぜひお願いします。
登山というほどではないのですが
>kazukoさん
石段から大悲閣までは10分弱ほどの道のりなので、登山ほどではないのですが。ヒールで行く場所でないことは確かです(笑)。
定番観光地以外にも、魅力的なところはたくさんあります。ぜひぜひ遊びに来てください♪
石段から大悲閣までは10分弱ほどの道のりなので、登山ほどではないのですが。ヒールで行く場所でないことは確かです(笑)。
定番観光地以外にも、魅力的なところはたくさんあります。ぜひぜひ遊びに来てください♪
美しい景色
美しい景色ですね。
写真でもそれが伝わってくるのですから、実物を見たら思わず息を呑んでしまうようなものがあるのでしょう。
私も京都は何度か行ったことあるのですが、建造物と料理を楽しむのがメインで、自然を楽しむということはほとんどなかったような(詳しい人からすれば、建造物ってのは周りの景色も含めて楽しむものだよ、って感じかも)。
次に行く機会があれば、回るコース作りは史間さんに依頼したい。初心者向けコースでお願いします(笑)
写真でもそれが伝わってくるのですから、実物を見たら思わず息を呑んでしまうようなものがあるのでしょう。
私も京都は何度か行ったことあるのですが、建造物と料理を楽しむのがメインで、自然を楽しむということはほとんどなかったような(詳しい人からすれば、建造物ってのは周りの景色も含めて楽しむものだよ、って感じかも)。
次に行く機会があれば、回るコース作りは史間さんに依頼したい。初心者向けコースでお願いします(笑)
- 菊枝
- 2013/10/23(Wed)19:24:31
- 編集
風に吹かれるのがいいんですよー
このblogについて
文学市場は1994年設立のジャンル不問文芸同人サークルです。毎年3回、同人誌「さくさく」を発行しています。
ブログ「さくさく」では、文学市場の同人が、例会の様子や文学について、などゆる〜い感じで紹介します♪
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菊枝てんね
東京在住です。
文学市場に入会してまだまだ日が浅いですが、先輩後輩の概念がない誰もが平等なサークルなので、出しゃばりつつ口滑らせつつ明るく楽しく活動しています!
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京都在住の同人です。合評会にはたまにしか参加できないため、主に雑記に現れます。「さくさく」では今のところ歴史・時代小説を書いていますが、青春物やファンタジー、童話なども書きます。
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東京在住です。
月一の合評会では先輩方の才気に富む意見に刺激を受けながら、まだまだ執筆経験は浅いですが、もの書きを目指しています。
「さくさく」には短いエッセイを載せています。
踊りによる自己表現にも興味があり、将来、文章と踊りを融合させた作品を作れたらと小さな夢を抱いています。
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