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山下達郎の「クリスマスイブ」

こんにちは。若夏です。
ブログ、初投稿させていただきます。
 さて12月になりましたね。12月というと皆さんは何を思い浮かべますか?
私は、やはりクリスマスが真っ先に思い浮かびます。
街が赤・緑・白に彩られ、行く先々で、そうあのクリスマスソングが聞けるのが、なんといっても好きなのです。
 山下達郎の「クリスマスイブ」という曲です。この曲は発売当初、爆発的に売れ、100年は聴かれ続けるだろうといわれた不朽の名作であり、クリスマスになると毎年、耳にする回数が一番多いのではないでしょうか。
この曲の歌詞には、訪れることがないであろう恋人を待ちながら、クリスマスムードに浸る街の中でたった一人でいるというストーリーが描かれていると思うのですが、この歌詞を載せたメロディーがこんなにもずっと聴かれ続ける理由は何だろうと考えてみました。
 理由の一つとして、この歌詞が恋愛における人間の感情をよく捉えているからではないでしょうか。


 「恋」の語源は古代の「恋ふ」にあるそうです。
恋ふ:人に対して物を与えてくれるよう求めたり、何かをしてくれるよう願う意味の「乞う」と同根。古くは異性に限らず、花・鳥・季節など目の前にない対象を慕う気持ちを表わした。
 しだいに「恋ふ」は、原因・由来を表す助動詞「に」に導かれて「~に恋ふ」という形で用いられ、「異性にひかれる」という意味で多様されるようになったらしいです。
つまり、「~に恋ふ」は自己の意識的行為というより、受動的に見え、「受け身のこと」と理解できます。
 そして、以下の二つの和歌にみえるように、「恋ふ」ことは会えない前提をもってはじまるところに、この言葉の持つ力の本質があるのではないでしょうか。

  <衣手の別く今夜より妹もわれもいたく恋ひむな逢ふよしを無み> (三方沙彌歌一首)
  <な思いそと君は言へども逢はむ時何時と知りてかわが恋ひざらむ>(柿本朝臣人麻呂妻依羅娘子与人麻呂相別歌一首)

 眼前にいないところのあなた(あなたがいないという原因)によって自然と成立してし
まう動作・状態ととることができます。
 加えて、万葉集には「恋」を表すのに「孤悲」と書いていたようです。
 これらが示すのは、「恋」というのは成就しないが故に成立してしまうということで
あり、何かパラドックスを抱えた言葉のように感じます。
そして「愛」は今でこそ英語の“love”の訳語ですが、古くは「愛し」と書いて「かなし」
と読んだそうです。  
 愛し(かなし):身にしみじみと愛(いと)しい。懐古。孤独。孤愁。感情が痛切に迫って、心が強く打たれるさま。
「愛」が受け入れてもらえない時、人は深く悲しみ、辛い心にさいなまされます。
「人を愛そう」「地球を愛そう」など、今は積極的なものとして簡単に表現しますが、もと
をたどると、満たされない消極的な感情だったのですね。孤独な満たされない状
態が「愛」が何であるかを知ることに必要な条件なのかもしれませんね。
 言葉とは人間の性をよく心得ているなあと思います。
 長々と書いてしまいましたが、本題に戻りますと、山下達郎の「クリスマスイブ」は、
想像すると誰もがどこか記憶していたような感情・・そんな郷愁を抱くのではないでし
ょうか。悲しさ、寂しさの裏にある、相手を思う気持ち・・それが短い中にギュッと詰められた曲だと思います。
 というわけで、皆さん素敵なクリスマスを過ごしてください。


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無題

若夏さん、恋に関する語源からの考察大変面白く読みました。確かに、何事につけ、求めるという行為には、その行為を心に抱いた瞬間から、その行為が成就できないという可能性が発すると言えますね。つまり、求めるという行為が積極的、もしくは自分の欲するところであればあるほど、その表裏として、求められない場合の打撃が深くなるという、まさしくパラドックスがあるということなのかもしれませんね。恋とは魅力がある裏側には、常に恐怖もつきまとうという、これは永遠のテーマかもしれませんね。ですが、思うのですが、だからこそそこには人間がある、つまり、人間であるという証明があると僕は思います。つまり、欲求とそれが叶えられない恐怖と、それらを同時に持ち、その中で生きるのが人間であり、それがゆえに人間であると思うのです。パラドックス大いに結構であり、それが人を人間にする。そうした方向性の思考が産むものが時には文学になったりするのではないかと、深夜に呟いてみました。僕も近々記事に挑戦してみたいです。ではでは。
  • 大山日文
  • 2013/12/16(Mon)02:15:27
  • 編集

名曲

若夏さん、初投稿記事、遅ればせながら読ませていただきました!

山下達郎さんのクリスマス・イブって、もう30年前の歌なんですね。これだけ長い間、愛され続けているのは素晴らしい! 名曲という呼び名がふさわしいですね。

歌というのは曲があって詞があってそして歌う人がいてという複合的な表現ですが、それが高い次元で組み合わさっているからこそ愛され続けているのだろうなとしみじみ思いました。
  • 菊枝
  • 2013/12/26(Thu)21:11:26
  • 編集

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